新築だからといって安心できない5つの理由

新築の建物であれば、建物が完成したら完了検査というものを受けます。
この完了検査は、ほとんど民間の検査機関が行います。

まず大前提として、民間の検査機関では一般的な木造2階建ての住宅については構造に関する計算の審査をしておりません。
だから、木造2階建ての場合、構造計算は設計者の責任となり、第三者の目によって軸組みに関するはチェックされないわけです。

木造2階建てだと中間検査と呼ばれる検査がある場合とない場合があります。
これは特定行政庁や住宅の規模によって実施の有無が違ってきます。

中間検査が無い住宅は、完了検査しか受けません。
この完了検査というのは、建物の外形・窓の位置や間取りが建築確認申請図と合っていれば合格という程度のものなので、手抜き工事や欠陥住宅かチェックしません。

特に、完了検査しかない住宅は構造計算通りしっかり施工されているかどうか第三者の目では検査していないわけです。

上でも述べたように、一般的な木造2階建て住宅の構造計算は設計者の責任であり、工事監理も工事監理者の責任です。
特に建売住宅は、どんな構造計算をしているか設計者しかわかりませんし、その計算通り工事監理をしたかどうかは怪しいブラックボックスなのです。
例えばですが、外壁下地の合板を張る釘の取り付け間隔が一部違っていたら構造計算とは違うわけで計算と違うわけです。
構造計算というのは細かい規定があり細かい机上の計算です。
現場を監理する人が熟知していなかったら計算通りにはいかないわけです。
言うならば、構造計算は100点満点の世界。現場管理はそうとは限らないということです。

建売住宅の場合、構造計算を行った人が現場も監理することはほぼ無いですから、工事監理者任せです。
しかも、この工事監理者は毎日現場を見ているわけではないので、現場のことは別の現場監督さんに任せるわけです。
工事監理者といっても自分の会社に勤めている人ですから、終わった工事をダメ出しはできません。

これがレオパレス問題やダイワハウス問題を引き起こしている原因でもあります。

工事監理などというと偉そうなイメージですが、私が見てきた限り、建売住宅の工事監理者は20~30代前半の2級建築士の方が多いですね。

今の若い人は大きな会社に勤めていてもすぐに辞めてしまうなんてことが言われていますので、家は何十年と住まい続けますが、そこ頃はその監理者は会社に所属していないなんてこともあることでしょう。

私が言いたいことは、これらの会社や人がいい加減だというつもりはありません。
住宅監理に関する法整備が甘いと感じるだけです。

1、構造に関して審査しない民間検査機関
(構造を審査できる人が少ないため法整備できていないという現状)

2、欠陥工事や手抜き工事は検査していない公的な検査
(一般の方は検査済という言葉に惑わされ、欠陥についても検査されていると思っている人が多い)

3、構造計算する人、設計監理する人、現場管理する人の連携がとれているとは言い難い。
(流れ作業のように責任が分かれており責任の所在が曖昧。同じ会社組織でも一体感が無いと感じる。)

4、自分の会社に所属している建築士を工事監理者とすることができる。
(第三者の工事監理者が入らないからレオパレス問題やダイワハウス問題のような欠陥問題が起こる。)

5、一般的な木造2階建ての住宅では中間検査が無いことがある。
(建物規模や特定行政庁によって違うことが問題と感じる。)

当たり前のように建っている住宅は、自動車のような工業製品のようにチェックや管理体制がしっかりしているとは言えないのが現状かと思います。
人の命を守るという意味では同じだと思いますが、どうやら住宅はまだまだ軽視されているように思います。

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