構造の欠陥が起きてしまう理由

今回は、構造の欠陥について書きたいと思います。

建物の構造は一般の人には、分かりにくいブラックボックス的分野です。

実は、一級建築士でも二級建築士でも構造計算をしたことが無ければブラックボックス的な存在なのです。

構造設計から現場が建つまでどんな流れかお伝えします。

まず、構造設計者は構造計算に基づき構造図を作成します。

その後、プレカット業者によってプレカット図と呼ばれるものを作成します。

このプレカットとは何でしょう??

プレカット図とは、木材をあらかじめ工場で加工するための図面です。

通常は、構造図を基に作成されます。

しかし、ここで注意するポイントがあります。

構造図を基に作成しますが、設計者の意図が伝わらずプレカット屋さんの都合で微妙に変えてしまうことがあるのです。

この変更に伴い、しっかり設計者がチェックしているかというポイントがあります。

しっかりした設計者ならばプレカット図も自らチェックしますが、場合によってはプレカット図のチェックを人任せにしている場合もあり、構造図を100%汲み取ったプレカット図でない場合もあるでしょう。

構造図とプレカット図に相違があったらいけないわけで、相違があったとしたら構造図を優先すべきなのです。

プレカット図ができたら今度は現場です。

現場の大工さんは、構造図とプレカット図の2つある状況の中で作業する場合もあります。

ここでもう一つの注意するべきポイントがあります。

現場にとっては構造図よりもプレカット図を優先することが多いので間違いが生じやすいのです。

また、構造設計者の図を理解していない現場監督や大工さんは、勝手な解釈で現場を変えます。

これが危ないポイントです。

まとめると

構造図の作成 → プレカットの作成 → 現場の施工

この3つ流れに相違がなく進んで、はじめて間違いのない計算通りの構造と言えます。

昔、「電報ごっこ」ってやりませんでしたか?(笑)

いかに正確に伝えられるかが重要でした。

このように、構造図から現場の施工が変わってはいけないのです。

構造の世界は極端な話、100点か0点を左右してしまう世界だと思っています。

現場監督さんや大工さんはこの程度の変更は大丈夫だろうと思っていることでも、机上で計算した構造の世界ではNGの場合もあります。

こうした緊張感を持っていない現場監督さんや大工さんが多いのが現状なのです。

現場監督や大工さんは建築の資格を持っていなくてもできるので、変更に対する意識が非常に低いのです。

もはや、資格の問題ではなく構造に対する知識の不足と確認不足です。

また、資格を持った責任のある工事監理者は、名ばかり工事監理者で現場には一度も来ないような有資格者が世の中にはゴロゴロいます。

名ばかり工事監理者がたとえ数回現場に来たとしても構造設計者の意図を理解している人は少ないです。

だから、現場は構造に知識の無い人達ばかりで組みあがっていくのです。

もしかしたら、世の中の木造住宅のほとんどは、構造図や構造計算の通りに完璧にできている現場の方が少ないのではないかと思っています。

私も今まで建築途中の検査をしていますが、何らか間違いや見落としをどの現場でも指摘しています。

もし、私が指摘してなかったら、間違ったまま出来上がっていたでしょう。

木造住宅の耐震等級は1から3があり、等級3が一番良いですが、これは机上で計算した数字が耐震等級3というだけで、しっかり現場がその通りにしっかり施工されていなかったら、等級3ではないかもしれません。

日本の建築事情として、机上の計算やチェックは重視されていますが、一歩現場に行ったら図面とは違う間違いはたくさんあると思います。

それは、瑕疵保険の構造検査や公的な中間検査がはっきり言って甘いからです。

「構造金物が図面通りついていたら合格」という程度のものだからです。

構造設計の意図を読み取ったチェックをほとんどできていないのに検査済を発行しています。

この机上の計算だけに終わらせないで、現場においても何重にもよるチェックが必要だと思っております。

1、現場監督のチェック

2、工事監理者のチェック

3、構造設計者のチェック

4、瑕疵保険のチェック

5、第三者によるチェック

パワービルダーや建売の現場は、

1、△

2、×

3、×

4、△

5、×

が多いのです。

したがって、チェック漏れして欠陥住宅が生まれてしまうのです。

本当は、構造設計した張本人がしっかりとチェックすることが一番なのですが、そうする義務もなく、構造設計者も机上の計算で忙しく、現場へ行く時間が無く、費用も貰っていないこともあるので、チェックに行かないことがほとんどです。

これでは、構造の欠陥が起きてしまいますよね。

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